木造金物実験
前回のどうでもいいGoogleの投稿は置いておいて、今回はまともな投稿です。
近年、建築業界では木造建築が(俗にいう)ブームです。構造設計に関して言うと、(私の主観ですが)ブラックボックスが多い分野です。ブラックボックスというと語弊があるかもしれませんが、私にとってはまだまだ学ぶところが多い分野という方がいいのかもしれません。
最近、建築士会の「木造塾」という集まりで、木造金物(接合部)の構造実験に携わっています。木造建築物の材料には「製材」という山の木を切り整えた(原木を加工した)材料と「集成材」という山の木を板状にして、それらを選りすぐって積み重ねて、四角い材料にしたものに大別されます。前者は山の木なので、育ちの違いなどで材料毎に特性がちがいますが、後者はそれらを「選りすぐって」いるので比較的均一な特性の材料となります。構造設計者にとっては、後者の方が扱いやすいのは確かですが、当然それに比例したコストがかかります。
実験の趣旨は「製材」を使って比較的大きめの建物を造る事を目的として、製材を使った場合の木造金物(接合部)の実験をしてみようというものです。実験の趣旨は私も興味のある分野で、集成材工場のない島根県でいかに製材をうまく使うことができるか?は一つのテーマです。今日は、その実験の公開試験を開催しました。
「実験」というと、私にとっては懐かしく、修士大学院生の時を思い出します。当時は協同研究している企業に行って、粘弾性材料の材料試験をしたり、大学の実験棟で実大粘弾性ダンパーの実験をしたりしていました。今回は久々(20年弱ぶり?)になりましたが、当時を思い出しながら実験させてもらいました。私は治具(試験体を取り付ける金具)の設計・調達や実験の準備方々頭と体とフル回転でした。
※今時は変位計がレーザーなんですね?!
今回の実験の結果後日まとめられますが、実験を通して思ったのは、机上で計算式をこね回して結果を出すだけでなく、ものがどのように壊れるのか?なぜ壊れるのか?壊れない様にするにはどうしたらいいのか?いろいろ体感しながら考える事が大事だなぁと感じたところです。
建築構造設計者は建物が壊れない様に設計していますが、壊れたところを見たことがある人は非常に少ないのです。理屈ではなく、現実に壊れるところを見ることはとても大事だと感じたところです。まだまだ学ぶことが多い木造分野について、ちょっと前に進んだ気になっている今日この頃です。