インターン
(今回はちょっと専門的な話題ですが、あしからず。)
5月より、島根大学から弊社へインターンシップ(職業体験)の学生さんが来ています。
近年、中学校や高校でも社会学習の一貫として職業体験の機会が増えていますが、建築構造を学ぶ大学生(院生)にとっては実際に就職を見据えた専門的な職業体験の機会となり、より実社会を学ぶ上で重要な機会ではないかと思います。
私自身、大学、大学院と建築構造を勉強しましたが、当時はインターンという制度は無かったですし、設計事務所でアルバイトもしなかったので、社会人になるまで、実務として建築構造に携わった経験はありませんでした。大学で学んだ内容が、実社会でどのように活用されているのか、研究内容が実社会のどのような位置づけだったのか?など理解できたのは、社会人になって数年経ってからでした。そんな自分の経験を考えても、この制度は就職選択や建築構造の勉強の上で非常に有意義であると思います。
とはいえ、インターンで職業体験といっても、実務の構造設計は、学校で学んでいる以上の内容や知識を必要とするので、いきなり実務設計の体験ができる訳ではありません。そのため、弊社では、簡単な形の物件を題材に、建築基準法や技術基準書、学会指針などを説明しながら一つずつ自分で設計してもらう体験型職業体験をしてもらっています。
しかも、構造計算のイロハを知るためには、「手計算」が原則!なので、一から手計算(当然電卓は使います)で設計してもらっています。現在の設計業界では計算プログラムが豊富に用意されているので、理論理屈の中身を理解せず、プログラムの使い方さえ覚えれば構造設計ができてしまう懸念もつきものです。せっかくのインターン体験ですので、計算プログラムに頼ることなく、電卓とノートでまずは自分で設計してみよう!を基本として、固定法やD値法、fb、fcの計算など、日々電卓叩いて計算してもらっています。
そんな日々が5月から続いていますが、実は、受入側のこちらもわかり易く説明するスキルと努力が必要です。未来の建築技術者に建築構造の極意を伝える事も設計者の役目と感じ、なるべくわかり易く、具体的に説明できる様こちらも日々研鑽しながら仕事をしています。お互いにとって有意義な時間になればと思っています。
<写真は本文とはほぼ関係ありません。>
追伸:こちらはインターンの時に活用している自作設計マニュアルです。
設計全般編、鉄骨編です。誤字脱字、誤記、誤り不問ですが、一応構造設計についてわかり易くまとめてあると思います。学生さんには有意義な資料と思います。ご参考まで。